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【薪ストーブのある暮らし】冬の夜、炎の前に家族が集まる家づくり

家づくりの打ち合わせをしていると、ときどき「実は薪ストーブを入れたいんです」とおっしゃる方がいます。少し照れくさそうに、でもうれしそうに話してくださるんですね。

薪ストーブって、なんとなく「山の中のペンションにあるもの」「北海道や長野の話」というイメージがあるかもしれません。でも実は、ここ愛知県でも薪ストーブのある注文住宅は増えています。私たちアサヒハウジングでも、これまでに薪ストーブのある家を何棟もお手伝いしてきました。

住んでみてどうですか、と聞くと皆さん口を揃えて「もう戻れない」とおっしゃいます。エアコンの暖房とは根本的に違うんだそうです。

ただ、薪ストーブにはいいことばかりではなく、手間もかかるし、知っておかないと後悔することもあります。「入れたい」と思った方が後悔しないように、設計や施工に携わってきた立場から、できるだけ率直にお伝えしたいと思います。

目次

  1. 薪ストーブの何がそんなにいいのか
  2. 暖炉・薪ストーブ・ペレットストーブ、何が違う?
  3. 薪ストーブのメリットとデメリット、正直にお伝えします
  4. 自然素材の家に薪ストーブを入れると、何が変わるか
  5. 設置のとき、ここだけは押さえてほしいポイント
  6. 費用はどのくらいかかるのか
  7. 愛知県で薪は手に入るのか
  8. 工務店選びで仕上がりが変わる理由
  9. 薪ストーブのある注文住宅を、愛知でお考えの方へ

薪ストーブの何がそんなにいいのか

初めて薪ストーブの火が入った家に入ったとき、「あ、これはエアコンと全然違う」と思いました。何が違うかというと、空気の温かさじゃないんです。壁も、床も、家具も、部屋にあるもの全部が温まっている。体の芯からじわっと来る感じで、外から帰ってきたときの「ほっとする感覚」が段違いです。

これは暖め方の仕組みが根本的に違うからです。エアコンは空気を温める「対流暖房」。温かい空気が上に溜まるので、頭がぼーっとするのに足元は寒い、ということが起きます。薪ストーブは「輻射熱(ふくしゃねつ)」といって、ストーブ本体から出る熱が壁や床や人の体に直接届きます。遠赤外線に近い暖まり方で、火が消えた後もしばらく温かさが残るのが特徴です。

それと、炎を見ていると不思議と落ち着きます。キャンプの焚き火を何時間でもぼーっと見ていられる、あの感覚です。家に帰ってきてリビングに炎がある。家族がなんとなくストーブの前に集まって、テレビを消して話をしたり、本を読んだりする。そういう時間が日常になるというのは、暖房器具という枠を超えた話だと思います。

最近は防災の観点から薪ストーブに関心を持つ方も増えています。電気もガスも使わないので、停電時でも暖が取れますし、天板の上でお湯を沸かしたり煮込み料理をしたりもできます。愛知県でも南海トラフ地震への備えを意識される方は多く、「もしものとき、家族を温められる」というのは心理的にも大きな安心材料です。

暖炉・薪ストーブ・ペレットストーブ、何が違う?

「薪ストーブを入れたい」と相談に来られる方の中には、暖炉と薪ストーブの違いがはっきりしていない方もいらっしゃいます。実はこの3つ、構造も暖まり方も全く別のものです。

暖炉薪ストーブペレットストーブ
構造壁に組み込み、扉なしが多い壁から独立、耐火ガラスの扉あり壁から独立、扉あり
燃料木質ペレット(おが粉を圧縮成形したもの)
煙突壁の内部が煙突になる屋根を貫通する煙突が必要壁に横出しの排気筒のみ
暖まり方ストーブ周辺のみ(熱が煙突から逃げやすい)輻射熱で部屋全体〜家全体を暖められる輻射熱で部屋を暖める
電力不要不要機種により必要
設置のしやすさ新築時のみ新築時が理想リフォームでも比較的容易
メンテナンス煙突掃除が大掛かり年1回の煙突掃除+日常の灰処理灰が少なく手間は軽め

映画やドラマで見る「暖炉」は見た目の存在感は抜群ですが、実は暖房効率がよくありません。熱の多くが煙突から外に逃げてしまうためです。日本の住宅で実用的に使うなら、薪ストーブかペレットストーブが現実的な選択肢になります。

ペレットストーブは薪割りの手間がなく、機種によっては自動運転もできるので手軽です。ただ、薪ストーブのようなダイナミックな炎や、薪をくべるあの独特の時間は味わえません。「炎のある暮らしは欲しいけど、手間はできるだけ省きたい」という方にはペレット、「手間も含めて楽しみたい」という方には薪ストーブが向いています。

薪ストーブのメリットとデメリット、正直にお伝えします

いいことだけ並べて「ぜひ導入を」と言うのは簡単ですが、それでは不親切です。薪ストーブには確かに手間がかかりますし、向いていない方もいます。メリットとデメリット、両方を知った上で判断していただきたいと思います。

メリット

家全体がじんわり温まる
輻射熱は壁や床に蓄熱されるので、火が消えた後もしばらく温かさが持続します。吹き抜けのある家なら、1階のストーブの熱が2階まで届きます。シーリングファンを併用すれば、家全体を効率よく暖められます。

乾燥しにくい
エアコン暖房の最大の不満のひとつが「乾燥」です。薪ストーブは空気を直接温めるわけではないので、エアコンほど空気が乾きません。天板の上にやかんを置いておけば加湿にもなります。

調理ができる
天板の上でお湯を沸かしたり、煮込み料理をコトコト作ったり。オーブン付きの機種ならピザやパンも焼けます。冬場、ストーブの上でシチューが煮えている風景は、それだけで家の雰囲気を変えてくれます。

停電時にも使える
電気もガスも不要なので、災害時に暖房・調理・明かりを兼ねることができます。

洗濯物がよく乾く
意外と実用的なポイントです。冬場の部屋干しがからっと乾くので、共働き家庭には地味に助かります。

デメリット

薪の確保に手間がかかる
薪は購入することもできますが、シーズン通して使うとそれなりの量が必要です。乾燥に1〜2年かかるため、常に先のシーズン分をストックしておく必要があります。薪棚のスペースも必要になります。

暖まるまでに時間がかかる
スイッチを入れてすぐ温かくなるエアコンとは違い、着火してから部屋全体が暖まるまで30分〜1時間ほどかかります。朝の冷え込みにはエアコンと併用している方がほとんどです。

灰の処理と煙突掃除が必要
灰は定期的に取り出す必要があります。煙突は年に1回、専門業者に清掃を依頼します。煙突内にタールが溜まると煙道火災のリスクがあるため、ここは省けません。費用は1回あたり2〜5万円程度が目安です。

近隣への配慮が必要
煙と匂いの問題があります。住宅が密集した場所では、風向きによっては隣家に煙が流れることがあります。敷地にある程度の余裕がある方が安心です。煙突の位置や高さも設計段階で慎重に計画する必要があります。

ここまで読んで「手間が多いな」と感じた方は、正直、薪ストーブは向いていないかもしれません。でも「その手間が楽しそう」と感じた方には、間違いなくおすすめできます。薪ストーブを使っているオーナーの方に話を聞くと、「手をかけた分だけ愛着が湧く」とおっしゃる方がとても多いです。

自然素材の家に薪ストーブを入れると、何が変わるか

薪ストーブは、どんな家に入れても同じように見えるわけではありません。ビニールクロスの壁に合板フローリングの部屋に置くのと、無垢材の床に塗り壁の空間に置くのとでは、雰囲気がまるで違います。

木と火の組み合わせは、人間が一番古くから親しんできたものです。無垢の床に炎の明かりが映り込むあの感じは、理屈ではなく「いいな」と思わせる力があります。

アサヒハウジングの家は、東濃檜の無垢材を柱や床に使い、合板を使わないつくり方をしています。地中に炭を埋設して空気環境を整えたり、防蟻処理に薬剤を使わなかったりと、「建てたら見えなくなる部分」こそ手を抜かない、という姿勢で家づくりをしてきました。

こういう素材でできた家に薪ストーブが入ると、木の香りと炎の温かさが自然に溶け合います。オーナーの方から「2日ほど家を空けて帰ってくると、玄関を入った瞬間に木の香りがして思わず声が出る」というお話をいただいたことがありますが、そこに薪ストーブの温もりが加わると、「ただいま」の瞬間がもうひとつ豊かになります。

木が呼吸して、炭が空気を整えて、炎が部屋を温める。全部が自然のものでできている。そういう家に住むと、体がラクだとおっしゃる方が多いです。数字では測りにくい話ですが、住んでみるとわかる違いがあるようです。

設置のとき、ここだけは押さえてほしいポイント

薪ストーブの設置は「ストーブ本体を買ってきて置く」という話ではありません。家の構造に関わる工事になるので、知っておいてほしいことがいくつかあります。

煙突の計画が一番大事

薪ストーブの性能を決めるのは、実はストーブ本体よりも煙突です。煙突の径や長さ、屋根への出し方によって、燃焼効率も排煙性能も大きく変わります。煙突は屋根を貫通するため、雨じまい(雨漏りの防止処理)と防火対策が適切でないと、後々大きなトラブルになります。

また、煙突の位置は近隣への煙の影響にも直結します。風向きや隣家との距離を考慮して、設計段階で位置を決めることが重要です。

炉台と背面の壁

薪ストーブの周囲は高温になるため、床には「炉台」と呼ばれる不燃の台が必要です。背面や側面の壁も耐熱仕様にする必要があります。レンガやタイル、天然石などで仕上げれば、見た目の美しさと蓄熱効果を両立できます。

この炉台まわりのデザインは、リビングの印象を大きく左右します。最初から設計に組み込めば、ストーブが「置いてある」のではなく「空間の一部になっている」仕上がりにできます。

間取りとの関係

薪ストーブの暖かさを家全体に届けるには、設置場所が重要です。家の中心に近い位置に置き、熱が各部屋に自然と広がるような間取りが理想です。吹き抜けがあれば2階にも熱が届きますし、シーリングファンを併用すれば暖気の循環が効率的になります。

逆に、間取りを考えずに端の部屋に設置してしまうと、ストーブ周辺だけ暑くて他の部屋は寒い、ということになりかねません。薪ストーブは「あとから置く家電」ではなく、「間取りと一緒に考えるもの」です。

新築時に計画するのが圧倒的にスムーズ

ここまでの話でおわかりいただけると思いますが、煙突、炉台、耐熱壁、間取り——これらすべてを後から対応するのは大変です。リフォームでの後付けも不可能ではありませんが、制約が多くなりますし、コストも割高になります。

「いつかは薪ストーブを」と少しでも考えているなら、新築時の設計段階で相談しておくことを強くおすすめします。実際に入れるかどうかは後から決めるとしても、煙突の穴だけ先に確保しておく、という方法もあります。

費用はどのくらいかかるのか

薪ストーブの導入にかかる費用は、本体・煙突・施工費用の3つに分かれます。機種や煙突の仕様、設置条件によって幅がありますが、一般的な目安をお伝えします。

薪ストーブ本体20万〜60万円程度
煙突30万〜70万円程度
施工費20万〜30万円程度
合計目安70万〜160万円程度

煙突の費用が意外と大きいことに驚かれる方が多いです。煙突には断熱二重煙突を使うのが一般的で、これが安全性と燃焼効率を左右する大事な部分です。ここを安価なもので済ませると、結局メンテナンスや性能面で後悔することになります。

ランニングコストとしては、薪代が年間5〜10万円程度(購入する場合)、煙突掃除が年1回で2〜5万円程度が目安です。薪を自分で調達・薪割りする方は薪代をかなり抑えられますが、その分の労力と時間は必要です。

※上記はあくまで一般的な目安です。住宅の構造や機種によって異なりますので、具体的な費用は設計時にご確認ください。

愛知県で薪は手に入るのか

「薪ストーブには興味があるけど、愛知県で薪なんて手に入るの?」と聞かれることがあります。結論から言うと、手に入ります。

愛知県内にも薪の販売店や専門業者があり、ホームセンターでも束単位で購入できます。まとまった量が必要な場合は、薪の専門業者にトラック単位で配達を頼むこともできます。

もう少し踏み込んだ話をすると、日進市・瀬戸市・長久手市・豊田市あたりは山林にも近い環境なので、製材所や造園業者から原木を分けてもらって自分で割る、という方法を取っている方もいます。薪割り自体を趣味として楽しんでいる方も意外と多く、週末に少しずつ割って薪棚に積んでいくのが日課になっている、という話も聞きます。

薪は伐採してすぐには使えません。十分に乾燥させるのに1〜2年かかるため、常に翌年以降の分を準備しておく必要があります。薪棚を置くスペースも含めて、敷地に余裕があるとやりやすいです。

工務店選びで仕上がりが変わる理由

薪ストーブの設置をどこに頼むか。これは思っている以上に重要な問題です。

大手ハウスメーカーに相談すると、「対応できません」と言われたり、対応できても薪ストーブ専門業者に丸投げで割高なオプション扱いになるケースが珍しくありません。家の設計と薪ストーブの計画が別々に進んでしまうと、煙突の位置が不自然になったり、炉台まわりのデザインが浮いてしまったりします。

一方、施工実績のある工務店であれば、最初の間取りの段階から薪ストーブの位置・煙突ルート・炉台デザイン・断熱計画を一体で考えられます。家の設計に薪ストーブが「組み込まれている」のと、「後から足されている」のでは、仕上がりが全然違います。

アサヒハウジングでは、設計士・インテリアコーディネーター・現場監督の3人がひとつのチームで担当する体制をとっています。薪ストーブのような「デザインにも構造にも施工にも関わるもの」は、この3つの視点が揃っていないとうまくいきません。「ここにストーブを置きたい」という希望に対して、設計面で可能か、デザインとして美しいか、施工上の問題はないか——それを同じテーブルで話せるのは、チーム制の強みだと思っています。

薪ストーブのある注文住宅を、愛知でお考えの方へ

アサヒハウジングは、愛知県日進市にある工務店です。自然素材にこだわった注文住宅を、創業から45年以上手がけてきました。「健康に暮らせる家」をずっと追求してきた延長線上に、薪ストーブのある暮らしがあります。

薪ストーブの施工実績がありますので、「入れたいけど、何から考えればいいかわからない」という段階からご相談いただけます。土地の条件、近隣との距離感、予算、間取りとの兼ね合い——そういったことを一緒に整理するところから始められます。

完成してからも30年間の定期点検を続けています。薪ストーブのある家は、住み始めてからがお付き合いの本番です。季節ごとの使い方、メンテナンスのタイミング、薪の調達先の相談まで、長くお付き合いできる関係でいたいと考えています。

まずは気軽にお問い合わせください。モデルハウスでは無垢材の質感や空気感も体験いただけます。